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「あったかいな。吉沢のお陰で今日も暖房バッチリだ」
私は暖房係かっ!
カリンちゃんの周りにはすでに男子が取り巻き、彼女の気を引こうとみんな必死だ。
私はその後ろに隠れ、本を開く。
「おはよう」
不意に声を掛けられ顔を上げる。
「お、おは、おは、おは……」
陽に声を掛けられ、私はかなりテンパっている。
『星降る夜に、君を抱き締めたい』
手紙の文字が頭を過ぎったからだ。
「どーした?吉沢?何テンパってんの?珍しいな?いつも冷静沈着なのに」
「……いや、べ、別に」
私の斜め後ろに聖は座り、その後ろに陽が座った。
二人が着席すると、すぐにカリンちゃんが椅子から立ち上がった。
聖の席に行き、声を掛けた。
声優みたいに可愛い声だ。
「聖、おはよう。この間借りた参考書。役に立ったよ。ありがとう」
「そう、よかった」
「また貸してね」
「おい、カリン。俺には頼まないのか?」
「だって、陽は勉強なんかしてないでしょう?女子と遊ぶのが忙しいんだから」
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