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カリンちゃんが、陽をキッと睨んだ。
「コワッ、睨むなよ。俺は今カノジョいねーし」
「嘘ばっか、たくさん女の子がいるじゃない。今だって、下級生が廊下で待ってるし、早く行けば」
「カリンだって、クラスの男子が尻尾振って待ってんだろ」
「私は聖と話してるんだから。ほっといてよ」
二人はみんなの前で、言い争いを始めた。
「陽、よせよ。痴話喧嘩みたいだぞ」
「痴話喧嘩!?はぁ?聖、何言ってんだよ。お前勉強し過ぎて、頭おかしくなったんじゃね?」
陽はプイッと顔を背けると、廊下に出る。
廊下では「キャーキャー」と女子の黄色い声が響いた。
やっぱりモテモテだよね。
それなのに、どうして陽は私にあんな手紙を……。
私は廊下に視線を向ける。
私と同じように、カリンちゃんも陽を見ていた。
カリンちゃん?えっ?どうして陽を……?
もしかして、陽のことが好きなの?
そんなはずないよね。いつも喧嘩ばかりしているんだから。
「吉沢」
「あっ、はい?」
聖に声を掛けられ振り向く。
聖と視線が重なりドキッとした。
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