初めてのラブレター

9/10
81人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「吉沢、この問題」 「あ、はいはい」 私は席を立ち、聖の傍に行く。 聖……。 聖はわかってるのかな? 私が…… 今、どんなにドキドキしているのか……。 聖は…… きっと…… わかってないよね。 私みたいな地味子より、カリンちゃんみたいな可愛い女子が好きなんだ。 男の人は、みんなそうでしょう。 ――も、もしかしたら……!? あの手紙…… 私とカリンちゃんの席を間違えたのかな!? 私とカリンちゃんは、席が前と後だから。 「吉沢、問題解く気がある?ボーッとしないで。問四だよ。それとも降参?」 「……あっ、ごめん、ごめん」 私は慌てて、聖に視線を向けた。 『あなたが好きです』って、言ったら、聖はどう想うかな。 やっぱり、ムリだよね。 きっと笑われて、終わりだ。 チャイムが鳴り、聖がシャーペンを置いた。 「続きは放課後だな」 「……あっ、うん」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!