相殺

2/2
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
潮騒を聞いている 風に乗った鳥は 目的もなく去っていく その先に絶望があるとも知らず 一日の終わりは 明日を産むとは限らず 温もりを知らない子供らを ただ冷やしていく 空に放したタンポポの種は フワリフワリと漂って 着地点を選びあぐねいている 例えばそこがアスファルトでも 詠う者に勇気を授けよ 新しく生まれる命に讃歌を 白い髭を伸ばした老人に花束を 縄文杉にはかけがえのない祈りを 今日も何処かで赤子が夜泣きしている
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!