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第1章
-僕は何のために生きているのだろう-
-何故、いっそ殺してくれないのだろう-
-自分などどうなっても良い-
-死にたい-
僕は・・・どれだけ死にたいと願っただろう。
退屈な授業を聞きながら、頭の中はいつも懐かしい洋楽が流れている。タイトルなんて知らない。有名なバンドの歌らしい。そのメロディーと歌詞は不思議と気持ちを和ませる。あのラジオから流れてきたメロディーが僕の脳裏をいつまでも駆け巡る。
義務教育最後の学年。
来年には皆、高校生活を楽しんでいるだろう。その頃、僕は何をしているのだろうか?死んでいるなら幸いだ。生きているなら・・・覚めない悪夢をただ、見ているのだろう。
「瀬田、瀬田」
誰かに呼ばれている。目を覚ますとそこには気に入らない顔があった。その顔を見る度に僕は吐き気を催す。
「おい、シカトするなよ」
いかにも友達面して彼と彼の仲間は僕を教室から連れ出す。
人目の少ない階段下で僕は彼等に囲まれる。どいつもヘラヘラと笑っている。気持ち悪い奴等だ。するとリーダー的な存在の奴が俺の胸倉を掴んで問い詰める。
「金はどうした?」
「そんなもんは無い」
素っ気なく返答をすると、彼はいきなり俺の腹を殴った。
これまでも何度も殴られた。
抵抗はしない。抵抗すれば、奴等は面白がって余計に殴ってくる。
こいつ等は弱い奴を見つけては痛めつける。そしてそれを見て見ぬ振りする連中。それが学校と言う檻だ。イジメというのは学校におけるカーストを体言化した行為でしか無い。
イジメはいけない。そんなのは誰もが知っている。だが、無くなりはしない。それが大切な儀式のようなものだからだ。多くの生徒が自分達を守るために少数の生贄を欲するのだ。
休憩時間中、僕は罵声を浴びせられ、殴られた。だが、それはいつもの事で、殴る奴は笑い、関係の無い奴等は嫌な顔をしながら関わらないように無視している。それが教室という狭いコミュニティの常識だった。
「次は古典の時間か」
退屈な古典など出る気は無い。
授業をサボれば、内申に響く。だが、そんなのは進学を考えている奴の考えだ。僕は進学など出来ない。親は・・・いや、親代わりの人からは中学を出たら働きに出ろと言われている。無論、児童養護施設などに入るという手もあるが、何はどうであれ、僕は遥か昔に捨てられた存在なんだ。
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