◆二.

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◆二.

「桜まみれですね、島波先生」  山城先生が振り返るなり、私の姿を見て笑い出す。 「山城先生も変わらないですよ」 「あれ、あ、本当だ。むしろ僕の方がすごそうです」  山城先生は慌てて腕やら胸やら目に見える範囲の桜の花びらを払い落とすのだが、背中や髪の毛にもたくさん付いている。その上、払ったそばからまたひらひらと振ってくるのだから、キリがない。ちょっとしたお洒落だと思ってしまうのが良さそうだ。 「それにしても、申し訳ない。僕のせいで境内にすら入れず……これじゃ何をしにきたんだか……」  今度は頭に手をやり、ぺこぺことすまなそうに謝る。忙しい人だった。 「いえいえ、私も気づかなかったので……それに生徒達にもちゃんと会えましたし」 「いやぁ本当良かったですよ! それにしても、自転車置き場が参道の下にあるなんてなぁ。表示かなんか出してくれればいいのにずるいですよね」  ずるいって何ですか、と突っ込む私。     
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