プロローグ

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 赤の巫女が術を止めようとした時には遅かった。更に強い力を放った灰の巫女に跳ね返ってきた力は巨大な炎柱となり、その業火は灰の巫女を焼き尽くす。大地に響き渡る断末魔の悲鳴が、赤の巫女の顔を歪ませた。  炎の壁は消えていた。空には雷も消え、ぽつぽつと雨が降り始めた。  消し炭すら残さず、炎の中で消滅した灰の巫女。  赤の巫女は、力尽きたようにその場に膝を折ると、天に向かって号泣した。呼応するように、雨が激しくなった。  空に舞う光の翼を生やした巫女達は、ただ無言で赤の巫女を見詰め続けるのだった。
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