プロローグ

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プロローグ

 空が鳴いていた。  咆哮上げる龍の如き雷が舞う空の下、草一本生えぬ大地に集った少女達。和装にも洋装にも見える、だが一見して神職と分かる身に纏いしその衣装はそれぞれが色鮮やか。不毛の大地に咲いた色とりどりの花のようであった。  が、その顔には皆一様に険しい表情が浮かんでいた。  その中の一人。鮮やかな緑色の神職衣装を纏った十六、七歳くらいの少女が、その誰よりも美しい体躯に見合った精悍な顔立ちに一際険しい表情を浮かべて声を上げた。 「まず、青の巫女と白の巫女は西から、茶の巫女と私は東から先制攻撃を掛ける。そして、南から黄の巫女と橙の巫女と茜の巫女が攻め入り、目標を北の封印の祠に誘導。黒の巫女と桃の巫女が追い込み、紫の巫女が動きを封じ、トドメをさす。各々方、よろしいか?」  作戦説明を終えた緑の巫女は、仲間達の顔を見渡し、「異論は無いようだな……」と、一言。  だが、そこに一人の巫女が後ろから声を上げた。 「大アリよ。なに? アタシだけ仲間はずれってわけ?」 「赤の巫女……」     
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