第一章 夢のチョコレート

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第一章 夢のチョコレート

 空が青いな。日本晴れというやつだ。雲ひとつ無い。 ――あの、空を漂う尻と白いパンツを除けばだが……  そもそも上空に待機しているということ自体、僕には解せない。  絶対アイツ、自分の格好が分かっていないだろう。あの格好で空を飛ぶという事が、どれだけ恥知らずな行為になるか。  うん、そうだ! 良い事を思いついた。今度、天体観測用の超望遠レンズを購入して、下から激写してやろう。さぞかし高値で売れるだろうな。空飛ぶミニスカ魔法少女のパンチラ写真なんて。 「なあ! 聞いてくれてるか!」  騒音としか思えないダミ声が僕の耳を襲う。聞いているかだって? 聞きたくもない。だから別の事を考えていたというのに。 「空ばっかり見てないでさ……お、俺は真剣なんだ……」  今度はモジモジし始めた。キモい、醜い、見るに耐えない。 「と……徳川葵さん、付き合ってください!」  僕は、思わず大きな溜め息を吐いた。そして思う。どうして学校には、この放課後なんてバカな時間が存在するのかと。     
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