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第三章 封印の祠
晴天。抜けるような青空の下、昨日のバカ騒ぎは嘘だったかのように学校は朝から平穏そのものだった。白山くくりを乗せたリムジンが校門の前に着いた時には、さすがに黒山の人だかりは出来たが、それだけだ。
「とりあえず安心だな」
黒山の人だかりを後ろから眺めながら竜司は胸を撫で下ろす。
と、黒山の中から白山くくりが僕たちの方に向かってきた。
「おはようございます、龍守さま、徳川さま」
「うん、おはよう!」
竜司は、必要以上の声と笑顔で挨拶を返す。白山くくりも驚いた顔を見せたが、当の竜司は意に介さず、目の前の魔法少女にゴキゲンなようだ。さすがにこの崩れきった笑顔には鬱陶しさを感じる……
そんな竜司は放っといて、僕は白山くくりの横に行き、小声で聞いた。
「……君は白の巫女か?」
白山くくりも小声で返した。
「……はい。私達の中では、私が一番人当たりが良いからと、社交の場では私が任されていますので……」
なるほどな。色々と使い分けているわけか。コイツ等らしくあざとい。
僕に続き、竜司が崩れきった笑顔のまま白山くくりに口を開いた。
「今日は騒ぎにならなくて本当に良かった。朝から追いかけっこは勘弁だからね」
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