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第一話 伝説の復活
赤黒い荒廃した地平の中で、二人の戦士が旋風のようにぶつかり合う。
胸部に虎の顔と、狐のような兜を被った黒き戦士、ジャラキ。
胸部に龍の顔を持った赤き戦士、グレンガ。
『ここまで食らいついた執念は認めてやる! だが、所詮我には及ばん!』
ジャラキの拳が、グレンガの顔面に叩き込まれる。
その衝撃によろめきながらも、グレンガは反撃の為に、胸部の龍の顎より火球を放つ。
しかしジャラキに、その火球はまるで通じていない。
『貴様は素晴らしい戦士となれる器を持ちながら……愚か者めが!』
ジャラキの掌に大剣が出現し、憎悪の叫びと共にグレンガの頭部へ振り下ろされるが、グレンガはその一閃を白刃取りで受け止めた。
『……俺が欲しかったのは、そんなまやかしじゃない!』
グレンガの両腕から炎が噴き出し、ジャラキの大剣をへし折る。
一瞬の隙を突くように、グレンガはその顔面に拳を叩き込み、続けて腹部に蹴りを見舞う。
『小癪な真似を……!』
ジャラキが発した衝撃が、グレンガを弾き飛ばす。
『せめてもの情け、ここで貴様を終わらせてやる!』
ジャラキの胸部の虎が顎を開き、そこに黒い光が収束していく。
『……こんなところで、終われるか!』
それに呼応するように、グレンガの胸部の龍も顎を開き、炎の渦を作り出していく。
『消え去れ! グレンガ!』
虎の咆哮のように、ジャラキの胸部から黒い光線が放たれ、ほぼ同時に、グレンガの胸部からも炎の渦が放たれた。
黒と赤の光が双方向からぶつかり合い、激しい衝撃が発生する。
『この程度の攻撃など……』
勢いはジャラキの光線の方がわずかに勝っており、ジャラキは勝利を確信する。
『まだだ!』
ジャラキに押されながらも、グレンガが抵抗するかのように両手を前に広げる。
そして広げた掌から二つの火球が放たれるが、その火球はジャラキに直撃することなく、その横を掠めていく。
『そんな無意味なことを……!?』
無意味な行動とジャラキは一笑するが、掠めた火球はジャラキの背後で、炎の円を描くようにぶつかり合う。
そしてその円の内側が、そこだけ刃で切り取ったかのように、真っ黒な虚空へと変化する
『これは……!?』
グレンガがやろうとしていることを理解したジャラキの声音が、余裕から一転して驚愕のものになった。
『今の俺にお前を倒すことはできない。だからこの虚空に、お前を封印する!』
大気を激しく震わせながら、黒い虚空は渦潮のように荒れ果てた大地を吸い込み始める。
その渦にジャラキの体も引きずられていく。
『……これで勝ったと思い上がるな……人間の負の感情がある限り、我は更に力を高めて蘇る……何度でもだ……!』
呪詛のように叫びながら、ジャラキは虚空に飲み込まれた。
『……俺も……何度でも、何年かかっても……』
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