episode229 サイコパス変性 ①

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いくらもせずホテルに着いた。 思えばチェックインするには法外に早い時間だった。 それでも僕は連れられるがままフロントを素通りし 九条さんは笑顔のホテルマンから最上階の鍵だけ受け取った。 そこでやっと気づく。 皮肉なことにここもまた 我が家の――ひいては天宮家当主の息のかかった傘下であると。 「ベッドはあっちだよ――」 部屋の扉を開けるなり九条さんは求めてきた。 「ンッ……」 何も言わない僕の唇を塞ぎ込みながら 彼にしては珍しく 忙しなく上着を脱ぎネクタイを緩める。 (怒ってないのかな……) されるがままベッドに押し倒された僕は 子供みたいに思う。 彼が怒ってなければいいのに――。 何より一番に今この場を凌ぐ。 身についた浮気者の浅知恵だ。
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