episode229 サイコパス変性 ①

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本当に愛する人の手に身を委ねると 騙しが利かなくなる――。 「九条さん……」 つまりは黙っていられなくなった。 「何だい?」 だけど失った言葉を取り戻すのは難しく。 先に溢れてきたのは涙だった。 彼の方は僕が泣き出したことを 不思議には思わなかったみたいだ。 「おいで――」 シャツを肌蹴た王子様は裸にした僕を抱き起すと 後ろからすっぽりと抱きしめて 「君が敏感なのは身体だけじゃない――心もだよ、和樹」 唐突に言った。 「ン……」 「そう。ここだね」 後ろから心臓部に触れる手は 欲望と愛着に昂ぶって小刻みに震える。
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