episode229 サイコパス変性 ①

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「幸か不幸か――僕が見たのは最後の――本当に最後の一時」 それは幸いだったとは 口が裂けてもとても言えない。 だけど事実だ。 「真っ最中なら――殺してた」 きっとそれも。 九条さんは低く唸ると 一層僕を求めるように剥き出しの素肌に手を這わせた。 「それで……」 一番聞かなくちゃならないのはその先だった。 僕は心を決めると 身をよじり彼の顔を覗き込んだ。 「あなたが薄井を……?」 このしなやかな指先が 死なない程度に男を八つ裂きにしたのか。 「それとも……誰かを雇って?」 かろうじて手を下しはしなかったものの 誰かに恐ろしい命令を下したか。
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