episode229 サイコパス変性 ①

20/30
前へ
/30ページ
次へ
「いいや――」 次の瞬間 僕は何もしていないと彼は言った。 「え?」 「――僕はその場にいただけだ」 九条さんは複雑な顔をして 逆に僕を問い詰めた。 「君は本気で思ったの?――僕が嫉妬に狂ってあの男を刺したと?」 「それはっ……」 冷静に考えれば 九条敬がそんな事するはずないと分かりそうなものなのに。 「雇った誰かにあいつを襲わせたと?」 あの夜から今まで 冷静に考える時間なんてこれっぽっちもなかったんだ。 「そうすれば良かったかもな」 九条さんの手は 急に温かみを取り戻したように感じられた。 「でも……あなたはあの場にいた……つまり」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

106人が本棚に入れています
本棚に追加