episode229 サイコパス変性 ①

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すがるように伸ばした 僕の手に口づけて 「うん。見たよ――知ってる。薄井を襲った覆面の男」 九条さんは僕が飲み込んだ言葉の後を継いだ。 「見たって……男の顔を?」 「ああ――」 表情が曇る。 困惑しているようにも見える。 その顔が示すのは えてして良くない事柄だと理解はしても。 「話して」 結末がどうであれ 物語の先を知りたがる子供みたいに僕はせがんだ。 「……君は知らないの?」 九条さんは囁くように言った。 「君は本当に知らないの?」 とても遠慮がちに 言葉を選ぶように。
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