106人が本棚に入れています
本棚に追加
「知らないよ……」
正直なところ僕はずっと
薄井千尋に制裁を加えたのは彼自身だと思ってたんだ。
「本当に何も?」
「ええ。本当に何も」
それが――だ。
「意外だな」
「九条さん?」
「いいよ、話そう」
僕の身体が冷えないように
九条さんはシーツを手繰り寄せた。
「この方がいい」
白いシーツを頭の上まで被ってしまうと
あたかも内緒話をするかのように声を潜める。
そして――。
「僕の後から来た男――ハロウィンの仮装に使うようなふざけたモンスターの覆面を被ってさ」
2人だけの空間で九条さんは深く深呼吸した。
「手にはナイフを持ってた。それで僕はまた――君たちお決まりの――戯れ事だと思ったのさ」
最初のコメントを投稿しよう!