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その後手の込んだ芝居で僕を裁き
薄井をわざわざ病院に繋ぎ止め
大々的に『悪魔狩り』をやると目論んで
九条さんを日本に呼び戻したんだ。
「自分が手を下しておいて……不利になるような真似するでしょうか……」
記憶を総動員して思い出す。
征司の言動は一貫していた。
まるきり
九条さんがこの件の犯人であると
信じ込んでいるように――。
「あるいは――」
シーツの海をたゆたうように
九条さんは気だるげな声音で言った。
「彼自身自分のやった事に気が付いていないのかもしれない」
「え……?」
それは思いもよらない言及だった。
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