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「どういうこと……?」
取り乱して騒ぎ出したいところだけれど
彼氏の手前ぐっとこらえた。
九条さんはあらかじめ首を横に振ってから答えた。
「僕はほんの一瞬彼を見ただけだから何とも言えないけれど、思うに――天宮家の当主になった今、彼が抱えているプレッシャーは並大抵のモノじゃないはずだ。そこへもってきて自分が雇った秘書があろうことか君と」
ライバルの胸の内を代弁するのは
さすがに簡単なことではないらしい。
心持ち気の毒そうに息を吐くと
「それじゃ……お兄様はストレスで?」
「知るもんか!」
息苦しさをごまかすように
九条さんは投げやりにシーツを剥いだ。
「逆に聞くよ。彼に何か変わった様子はなかったか?」
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