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「誰だって力を入れすぎたら骨が折れるだろ?それと一緒さ」
九条さんは思い立ったように
あるいは隠しきれない独占欲から
再び僕をその腕に強く抱いた。
「罠かも――」
黙っていられなくて
僕は潰れたような吐息で彼の耳元に囁く。
「それは確かめてみないとなんとも言えない」
凛とした冷静な瞳が
ごく間近で僕を捉える。
「確かめる方法はあるかな?」
僕はしばらく宙を睨んで考えた。
「もしかしたら――」
薄井千尋。
あいつなら本当のところを知っているかもしれない。
「もしかしたら、何?」
「いえ……」
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