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「それじゃ真剣な話をするけど――君、どうするつもりだ?」
「どうするって?」
「空港で九条敬を捕まえるんだろ?それからどうする?天宮征司の目の届かないところにいつまでも隠しておくつもりか?」
カプチーノの熱い泡を舐めながら
僕はぼんやりした頭でこれから先のことを考えた。
「それはとても無理だ」
一睡もしていない頭でも分かる。
九条敬は逃げ隠れするような男じゃないし
天宮征司も諦めるような男じゃない。
「それじゃそのままとんぼ返りでパリに駆け落ちでもするか?」
「そうですね――場合によっては――」
しかし言葉の続きを待たずして
椎名さんは首を横に振った。
「嘘つけ。心も決めてないくせに」
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