episode229 サイコパス変性 ①

3/30
106人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「それじゃ真剣な話をするけど――君、どうするつもりだ?」 「どうするって?」 「空港で九条敬を捕まえるんだろ?それからどうする?天宮征司の目の届かないところにいつまでも隠しておくつもりか?」 カプチーノの熱い泡を舐めながら 僕はぼんやりした頭でこれから先のことを考えた。 「それはとても無理だ」 一睡もしていない頭でも分かる。 九条敬は逃げ隠れするような男じゃないし 天宮征司も諦めるような男じゃない。 「それじゃそのままとんぼ返りでパリに駆け落ちでもするか?」 「そうですね――場合によっては――」 しかし言葉の続きを待たずして 椎名さんは首を横に振った。 「嘘つけ。心も決めてないくせに」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!