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話は堂々巡りして
「どうせ悪いのは僕ですよ!」
「僕は何にも言ってないぜ」
2人のうちどちらかを選べない
やはり僕こそが悪の元凶なのだという結論に落ち着く。
「自分でもどうしたらいいか分からないんです!」
「和樹……」
「正直彼に会うのが怖い」
自分でも驚くほど
僕は取り乱していたみたいだ。
カウンターの向こうでコーヒーを淹れる店員が
店を壊されやしないかという顔で心配そうに様子を窺っている。
「いいですか?正直僕はいつも、九条さんに会う時の方が怖いんだ!時間があいて2人で会う時はいまだにそれだけで緊張するのに、問題が起こった後なんて特に――」
指先が冷たくなって震える。
「おいおい、落ち着けよ」
手の中から滑り落ちそうなカップを掴んで
椎名さんは僕の肩を抱いた。
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