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何が言いたいんだ。
僕は僅かに首を振り自分を制した。
「どんな僕だって彼が受け入れてくれるのは分かってる。どんな僕だって今さらあの人はイヤだとは言いません。むしろ僕がこんな風に思っていると話せば、彼はもっと僕を愛してくれるでしょう。緊張感も恐怖心も取り除こうと必死で愛してくれる」
それは強がりなんかじゃなくて
身をもって分かっている真実そのもの。
「絶対的な信頼と愛がある。素晴らしい肉体の繋がりも――なのに何が怖い?」
朝日が昇ったばかりの空港で
のろけまで聞かされたと言うように。
「逆に聞くよ。それでも彼は君の心の深いところに根を張ってはいないのか?」
椎名さんは両手を開いて天を仰いだ。
「誰かさんみたいには――?」
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