episode229 サイコパス変性 ①

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「もう行かなくちゃ」 カップをテーブルに戻すと 僕は軽く椎名さんの頬にキスして席を立った。 「送って下さってありがとう。お祖母様にもよろしく」 椎名さんはハグする手に力を込めて 僕を捕まえると。 「根も花も枯れたら僕んとこ来いよ」 甘い声音で耳元に囁いた。 「――耕して種付けしてやるから」 朝っぱらから ふざけてる。 「もうっ……」 僕は苦笑いで彼の手をすり抜けると 「根も花も枯れません。でも――また遊びましょう、ハムレット」 いつもの彼の台詞を横取りして店を出た。 そこからは一目散 到着ロビーに向かって駆け出した。 何も考えられない。 どんな花束を受け取るか予想もつかないまま 僕はとにかく先を急いだ。
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