序章

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 ぼくの仕事、というより与えられた使命は、〝武装観測隊〟の編成である。  ぼくら人類の、唯一の統治機構である〈ヴィオス〉の意思決定により、灰と化した外界の生存圏獲得と資源採掘を急務とした、言わば決死隊である。  ぼくは栄誉なのか不幸なのか、その武装観測隊の長に抜擢された。  生きながらにして、地獄と形容される外界にほっぽり出されてしまうのだ。こんな役目は老い先短い方々が勤めればいいのにと、ついつい不平を抱いてしまうが、そもそも老骨が機敏なわけもなく、結局ぼくら若者が義務を果たさなければならない。  そして次世代のためにもだ。  世界が光を失って四半世紀を経ようとする今。人類はーーーぼくたちは特異点のような暗黒の中に、可能性としての光を探索する大きな試みに出た。  それは不可能な程の大望を、無条件で叶えられると信じ込む子供のように。
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