序章 惑星調査記録

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 まだ本星が無事だった頃に、軍事博物館に飾られていた機体を見上げて興奮した幼馴染みのエミナが、この後継機は植民惑星の武装では、通常時でも傷1つつけられず、無敵要塞とまで謳われる名機だ云々と熱く語っていた事を思い出す。  結局勝ち負けも無くて、本星も植民衛星も全部を失って、放浪しているんだから、どうだって話だが。  それ以前に母文明が誇る重機動兵器も、後継機ならともかく、今の機体ではこの星では子供くらいの体型でしか無く、しかも今は現地へ潜り込むために、外装に生体素材を用いた偽装をしているのだから、格好良さなど皆無だ。  具体的に言えば、その外装は周囲で泣いている少女達と同じく、少し尖った耳と浅黒い肌をした少女体型をしている。  本船が墜落した地点から一番近い地点に存在している集落の住民を模した外装を施し、他の潜入調査部隊と共に旅の家族を装う予定だった。  潜入調査任務のため街道とおぼしき道まででる途中で、現地野生生物の群れによる襲撃を受けて、撃退したまで良いが、使用した兵器が強力すぎたのか、戦闘地点の川岸の地盤が崩落し、リオの機体だけがそのまま川に流されてしまっていた。  普通ならば機体重量から考えれば流される事は無いのだが、どうやら現地人からの疑惑の目を誤魔化すための重力制御機能が悪い方向に作用してしまったようだ。     
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