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それは亜佑美が久々に家に帰った日、久しぶりに自分のベッドで寝ようとしたその時、神は現れた。
亜佑美は見ると同時、脳がそれを神だと理解するより先に、その得体の知りえない存在に願いを乞うていた。切実な思いのままに……
「どうかっ……どうか神様……お母さんを……お母さんを助けて下さいっ……そして、元の生活を……返してくださいっ……」
その言葉に、神は何も感じないかのように微動だにせず、話し始める気配すらない。
数分間、亜佑美は諦めずに願いを乞い続けていたが、やがていくら願っても無駄だと理解した。
亜佑美が願いを乞うのをやめると神は話し始めた。
「汝は、我等神の遊戯の参加者として我に選ばれた。汝の他にも選ばれた人間はいる。これから汝等には、我等から漢字と、それに関する異能力を与える。それを用いて戦いあえ。いや、殺しあえ」
大切な人の命を助けて欲しいと願ったすぐあとに、他の人を殺せと言われた亜佑美は言葉を失った。
あぁ……この世はなんて残酷なのだろう、と。
そんな思いを知ってか知らでか神は続ける。
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