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「殺しあうという言葉の為に頭の整理がますますつかなくなっているようだが、安心しろ。神の遊戯で人が死んでいっては人の世が荒れる。そのため、神の遊戯により死んだ者は、記憶操作された状態で、今までの日常通りの生活に戻るようになっている。周りの者達の記憶も書き換えられるため、少し違和感はあるかも知れんが、特に気にもならずに生活に戻るだろう。我等の力により、どれだけ暴れても特に何も起こっていないように一般人は感じるようにする」
それを聞いて亜佑美は思った。
戦う力なんていらない、暴れるつもりも毛頭ない、ただお母さんの病気が治り、元の幸せで何の変哲もない生活に戻りたいだけだ、と。
ただそんなことを考え、思い出す。
神は『これから汝等には、我等から漢字と、それに関する異能力を与える』と言っていた。
それならば……
それならば……治癒能力のある力を貰えばお母さんの病気も治るのでは?と考える。
亜佑美の考えが【神の遊戯】に参加する方向に向いて来たところで神は背を押すように言う。
「勝者には、どんな願いでも1つだけ叶えてやる」
それはつまり、亜佑美にとって、お母さんの病気を治し、元の生活に戻れると言っている様に感じられた。
亜佑美は深く考えず、
「神の遊戯に参加します。」
と言った。
神は端的に応じる。
「参加の意思を受け取った。文字を選べ」
亜佑美がそこで迷うことは無かった。
神が、既に選ばれた文字は使えないと言い、それらの文字を背後に出す前に、亜佑美は返答した。
「治療の治」
まだ選ばれていなかったようで、神はすぐさま了承する。
それと同時、亜佑美の右手の甲に“治”という文字が現れた。
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