41人が本棚に入れています
本棚に追加
数時間の後、ユキナは家の前で親父さまの遺品をシートの上に広げていた。
忌々しき不要品をガレージセールで売ってしまうことにしたのだ。
「これで本当に家業もおしまい。そして儲かれば、ばんばんざい……っとね!」
倉庫やら押入れから、お金になりそうな品はすべて引っ張り出してきた。
それにしても、名ばかりとはいえ、陰陽師を名乗る家だけあって、ヘンなもの、気味の悪いものばかり出るわ出るわである。木箱に入った河童のミイラをはじめ、わけのわからない御札やら、武器みたいなもの、はたまた使用方法不明な楽器みたいなヤツとか、怪奇極まる心霊写真の束。ユキナは、ますます、自分ん家の仕事が嫌になった。
――こんなもの売れるのかなぁ? 買った人、呪われるんじゃないの?
ちょっと心配だが、他人の心配より自分のため、将来のためには売るしかないのだ。
ユキナは丸めた新聞を片手に持ち、ねじり鉢巻頭にまいて叩き売りをはじめた。
「はーい、よってらっしゃい見てらっしゃい! 世にも不思議な怪しい道具が、大特価で手に入っちゃう! 怪奇大バーゲンですよ~~ん!」
意気揚々と商売を始めてはみた。しかし、待てど暮らせどお客は来ない。
やはり怪しすぎて誰もよってこないのだろうか。
「は~~あ。まったく売れないじゃない……これじゃあ家計のたしにもなりゃしない」
最初のコメントを投稿しよう!