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私たちはそんなバカみたいな話をしながら、桜越しの星空を見上げた。星々と満開の桜さくらが二人を見ている。来年も、こうして一緒に桜を見上げたいなあ、と思った。
お願い、桜。いつか彼を連れ去ってしまうことがあるとしたら、私も一緒にさらってね。花びらで包んで、絶対二人を離さないで。お願い、桜。
「泣かないで」
額を貴方の指が優しく撫でる。
「私、泣いてる?」
「笑いながら泣いてます」
「わ、気色悪い!」
慌ててハンカチで目を擦っていると
「桜は貴女に似合っていますよ。花びらに包まれているとあなたといるようでホッとします」
「春だけじゃヤだ。春夏秋冬、ずっと一緒にいたい」
「そうですね、僕はきっとどこにいても自然の中に、貴女の存在を感じますよ。・・・こんなに貴女が好きなんだから。
ですから」
もう一度乾杯すると、
「今は、こうして一緒に日々を暮らせる時間を大切にしましょう」
熱い目で、「僕はいつも心であなたと一緒ですよ」
と囁いた。
「忘れないでくださいね。僕が貴女を選んだんです。そんな杞憂を感じて怯えないでください」
そう言って、額に小さくキスをくれた。
滅多に酔わない貴方の目が少し赤く、熱を帯びている。
二人で桜と城郭を見上げた。
幸せだなあ、と思った。本当に涙が出るほど幸せだ。
貴方と夫婦になれて良かった。貴方もきっとそう思ってくれてるといいな。
<end>
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