プロローグ

2/6
前へ
/66ページ
次へ
 今日俺は史上最悪の犯罪者になる。  というのも、一つの大陸を破壊するからだ。  どうしてか?  原因は俺にある。俺が作った兵器「パンドラ」。ナノマシンを利用し、無補給での戦闘を可能にした最強の無人兵器。それを、完全に壊すためだ。いかにあいつでも、海中の中に入れば無力化されるはずだ。 「準備はよろしいので?」  ユーラシア連合、作戦司令部室。その中に、一つのスイッチがある。たった一発の核ミサイルを撃つためのものだが、それは厳重に覆われていた。  今それは俺の手の中にスイッチをむき出しにしたままある。  深呼吸。  本当に、いいのか……?  ユーラシア連合とアメリカにはもう話はつけた。このスイッチを押すだけで、武力を完全に放棄すると。その見返りに、ナノマシンの技術をよこすだけ。  まあ、実際はデータは放棄する気でいるが。 「カウントダウンを頼む」 「え、ああ……三、二、一」  スイッチを押す。同時にエンジンが起動し、空へと旅立つ。  すぐにそれは見えなくなる。指令室にミサイル弾頭からの映像が映し出される。一瞬宇宙が見え、そしてすぐにオーストラリアが見える。  そして、それはオーストラリアを完全に破壊した。 「データはここに送った」 「協力感謝する」  んじゃこれで、と手を振り部屋を去る。  歩きながら、やっちまったなと思った。どうせ、すぐにあいつらが異変に気付き俺を拘束するだろう。俺そもそもがナノマシンを応用した兵器を身に着けてるとは思わないだろうが。  まあいい。俺は足音を立てないようにしながら廊下を走る。  邪魔な白衣は投げ捨てる。  その下に隠されていた装甲とスラスターがあらわになる。  黒い装甲に赤いライン。  この、ナノマシンを応用した兵器の名を、「ギア」という――
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加