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「まったく、あなたってバカなの?」
何も言い返せない。
「で、あんた。私を殺しかけた代わりに協力しなさい?」
「ッ! ……わかった。で、何をしろと?」
一瞬言い返そうとしたが、すぐに口が動かなくなる。いかに不死とはいえ、不滅ではない。
「マスター」のパーソナリティで機能を停止させられたら、ただの人間になる。
「そうね……じゃあまず、あの子たち、連れてきて?」
あの子たち? 一つ思い当たるが、まさか。
「ploject humanical weaponのことじゃねえよな?」
「何言ってるの? それに決まっているじゃない」
遺伝子を改造し、ギアに適合した人類を作る――というバカげた計画だ。とはいえ、戦闘するには、必要なものだ。実際、遺伝子を改造してない俺は適合能力が低い。
「だがあいつらが今どこにいるかなんて知らねえぞ」
「はあー。ほんとあんたってナンセンス。私がそんなこともわからないと思って?」
まあ、超高度AIからしてみりゃ俺は馬鹿だろうさ。だがそんなことより。
「待て、じゃああいつらをギアにしてたってのか?」
それなら確かに探索できるだろう。
「いいえ? ただ単に、発信器を埋めてたってだけ」
一度息を吸う。
「あ、やっぱ連れてこなくていいわ。彼らを、そうね……北海道のどっかに一つにまとめて――三年前と同じくやりなさい」
ギアにするには、遺伝子改造を受けていることは必須ではないが、必要なのは、「心臓が止まっていること」。つまり一度殺さなければならない。
「で、断ったら?」
「へえ? 本当にそうするつもり?」
「さあ――どうだろうな!」
スラスターを展開し、最高出力で駆ける。ソードを展開。
「はあッ!」
「ほんっと、人間ってバカね……」
そして、オリジンの装甲が光った。
「ッ!? ぁああッッ!?」
装甲が、内側から弾け飛ぶ。
「何だこれは!? あがあああッ!?」
全身から血が抜ける感触があった。
「あなた、私の駒になりなさい?」
そしてオリジンは俺へと手を伸ばし――俺の意識は消えた。
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