プロローグ

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「はあ……何もしなかったら『人間』のままでいられたのにね……」  私は手を伸ばす。埋め込むパンドラは――こいつのギアと同じ、「hades」でいいかしら? 「ハデス――強制登録!」  オーバーリミットさせ、体の内側から突き出した装甲に手を当てる。  そして、私の手と、その装甲が赤く、黒く輝く。 「ごきげんよう?」 「俺は……?」 「まあ、そうね……人間の人格を一時的に上書きしたってかんじかしら?」 「そうか」  登録した設定は――「ギアとの戦闘時」。まあ、今は動作確認。 「戻りなさい?」  そしてハデスは人間の形へと戻っていく―― 「――ッ!?」 「起きた?」 「おま、俺に何をした!」 「何も?」  その笑顔が憎たらしい。 「で、協力してくれる?」  俺には拒否権なんてなかった。
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