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社員旅行のイベントで絶景スポットで花見をすることになった。
日が落ち辺りは暗くなったが皆、顔を赤らめ陽気に騒いでいる
そこは広い旅館の敷地で桜はライトによって彩られ、まるで暗闇に柔らかく浮かぶかのような桜の花はなんとも美しくいつまででも眺めていられる
しかしながら、この非日常的な空間を楽しむには少々回りがうるさい
そう思った時、少し離れた先に一際大きくて美しい桜の木を見つける
皆が陣取っている所から離れているため、そこなら酔っぱらい共の喧騒も届くまいと俺は酒で満たされた盃を片手にフラフラと少々おぼつかない足取りで歩き始める
四方からライトアップされ透き通るような薄いピンクの花びらが幻想的に見えるその桜の木は少し丘になったところに植えられ、まわりの桜から守られているかのように囲まれながら立っている
俺はそのまわりの桜の木の一つにフラフラと近づき背を預けると酒で軽く口を潤す
ヒラヒラと暗闇を舞う桜の花びらは丘の上に立つ桜を更に美しく彩る
すると、ピチャリと何かが盃に落ちる
桜の花びらが盃に落ちたにしては音が大きい
何かと思い盃を見ると…
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