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『…いよいよ、準備は整いましたね…勇敢なエルフ アイリンよ』
「…はい、女神様」
暗がりの中、ポツポツとローソクの灯りが揺れる神殿の中、大きな女神の像の前で両手を握り膝を着き、呼吸を整えているる淡い色の長い髪に尖った耳をしたエルフの少女が居た。
そんなエルフの少女に、どこからともなく聞こえる凛とした女性の声が、エルフの少女に語りかける。
『さあ…始めましょう…転生の儀式を』
「はい…!お願いします女神様!」
エルフの少女は、目を瞑り、大きく深呼吸すると…何かの詠唱を唱え始めた。
「我らが母なる時空の女神よ…叶えたまえ、求め訴える我の前に…異世界より転生されし勇者を…」
そう、詠唱を唱えている途中だった、突如辺りがゴゴゴと地鳴りの様な音を響かせ、地面が揺れてローソクを灯していた台座が倒れる。
「め、女神様…!?これは…!」
『な、何事でしょう…私にも…っ!
な、何かが…やって来ます!』
エルフの少女は女神に問い掛けるが、女神も分からないと言うが、何かが来るのを感じたのか少女にそう訴えかけると。
少女はまさか転生の儀式を邪魔する刺客の仕業かと、腰に刺した剣を引き抜き構えた。
『…気を付けて下さい!勇敢なエルフよ!これは…ただならぬ力を帯びた何かが…!』
「っ…!」
緊張感に包まれる、そして、より揺れが強くなった瞬間突如目映い光が神殿の中を包み込み思わず少女は目を瞑る。
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