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「ほんとにそうかな」
テルがそういって、軍用義手をうならせグラスをテーブルにおいた。両手を組むと指先がしっかりとからみあう。社交の場ではテルは義手にやわらかなスエードの手袋をはめていた。クニが口をはさんだ。
「おれもそう思う」
ジャクヤがいった。
「ぼくかて同感だよ。まだチャンスはあるはずや」
タツオは急に厳しい顔つきになったチームの男子を見わたした。テルがいう。
「確かに逆島家は近衛四家から滑り落ちた。金だってなくなったのかもしれない。だが、『須佐乃男』作戦をタツオが指揮官として勝利に導けば、逆転の可能性はあるだろ。救国の英雄なんだからな。進駐軍での扱いもまるで違うものになるはずだ」
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