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マルミが悲鳴をあげる。
「もうみんな信じられない」
テルが真剣にいった。
「進駐官としてというより、おれたち個人の人生にとっての重大事だよな。女子は妊娠と出産が不可能になる。男子だって、自分の子どもが成人を迎えるまで生きていられるか、確かではなくなるんだ」
クニがしみじみいった。
「そうだよな、子どもが二十歳のときに、親のおれの肉体年齢は七十代後半。案外ぎりだもんな。救国の英雄になるのも、けっこう厳しいよな」
「須佐乃男」作戦による爆発的な加齢の問題はまだ解決からは遠かった。肉体的な衰えにも個人差があるようで、実際にどんな結果を生むかは作戦後にしかわからなかった。搭乗者は誰もが不安を抱えているのだ。
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