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僕が抱きついてきた彼女の顔を横から覗き込む。すると、千代ちゃんは昨日来た時からそのままの小さいカバンの中から何か入ったナイロン袋を出した。袋の中には白い棒状のものだ。中央に丸と四角の窓があり、それぞれ一本ずつ縦線があった。
千代ちゃんは黙ってそれを僕に見せて来た。
「ん?なにこれ」
「妊娠…検査薬…」
「……できたの?」
僕の問いかけに、千代ちゃんは伏し目がちに頷いた。一瞬、本当に一瞬頭が真っ白になって無になった。
もうすぐ夏が来る。僕と千代ちゃんはどんな風になっているんだろうか。
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