本編

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今日のデートは特別じゃなく、いつもと変わらない。日常を共にしたという想い出が欲しかったから。 夕飯を食べた後、映画を観る。 お店は初めてのデートで行ったイタリアンのお店にした。 千晃はここが二人の想い出の場所だなんて、覚えてもいないだろう。 そもそも千晃は、私との想い出をどの程度覚えてくれているだろうか。 全く覚えていないということはないだろうが、『そうだった?』と素っ気なく言われてしまいそうだ。 そう思ったら、自嘲気味の笑いが小さく零れてしまった。 こんなに好きなのにな。 千晃を知るにつれて、どんどん嵌まっていって、自分のことよりも千晃のことの方が大事になって。 好きすぎて、周りが見えなくなりそうになったこともあった。 でも、そんな時には、決まって絵里さんを思い出す。 絵里さんのことが頭を過ぎる度に息が詰まって、心が壊れそうになった。
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