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よく見ると、本当に怒っているようで、眉間に皺を寄せて、目だって吊り上っている。
声だって、いつもののんびりしたものとは違って鋭さを感じた。
「バカでしょう。とりあえず、話の前に移動するよ」
そう言って、地面に足が張り付いてしまった私の手首を掴み、ズンズンと歩いて行く。
私は初めての強引さに戸惑い、ただ転ばないように着いていくのが精一杯だ。
そして、連れて行かれたのは、会社近くにある桜の木の下だった。
遊歩道を歩き、近くにあったベンチに有無を言わさずに座らされる。
「突然、別れると言って、アパートは引っ越してるし、携帯も繋がらない。僕の荷物まで送られてくる。しかも、訳の分からないことを言ってくれたね?」
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