第3章 パンドラの箱

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「歳が離れすぎてるし、俺から見ればガキなんだからもう良いだろ? しつこいといい加減うんざりだ」 「いやん!」と佳純は小さめに叫んだ。  周囲の人々に視線は来ない。俺はため息を吐く。 「怒らないで。私も、もう言わないから。ごめんなさい」  気の強い女が素直に謝ってくるのは気分が良い。俺の佳純の目を見て「俺こそごめん」と謝った。 「で、あの子に繋がる情報はつかめなかったけど。この写真の傷、本当なら生きてるのが奇跡だって言われたわ。彼女、本当に人間なの?」 「人間だよ。俺と同じもの食ってるし、勤勉だし、知性も備えてる。もう一年もしたら立派な助手になってる気がする」 「私、警察やめちゃおうかなぁ」 「なんで?」 「んもう!女心全然わかってない!」  三十路女が頬を膨らませて拗ねるのを、苦笑いで見つめた。普段の彼女を知る同僚は知らない素の表情だ。 「…欲求不満か?」 「その言い方も、むかつく」 「わかった。あみときちんと引き合わせるよ。お前にもちゃんと娘のこと理解して貰いたいんだ」 「なんで相談もなく、養子縁組まで決めちゃったの? 結婚したら子供五人ぐらい産んであげるのに」  さらりとそんなことを言う。俺の煮え切らない態度のせいで、佳純はどんどん自分から俺との距離を詰めようとしてくるようだった。
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