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数年後、鳥迫真月は結婚した。お見合い結婚だ、別に親に強制された政略結婚ではなかった。真月が望んだものだった。見た目も性格も悪い男ではなかった、ただ真月にはそぐわぬ男だった。
「 小夜ぁ 酔っ払っちゃった 」
かつて真月と暮らしていた今では私独りのマンションで私の肩にしな垂れかかりながら真月が甘く言葉を吐きだす。
「 いいのか 子供をほっぽり出して酒なんか飲んでて 不良主婦にも程があるぞ 」
「 そりゃ月夜は可愛いよ 私のいちばんの宝物よ 一緒にいたいよ でも小夜とも一緒にいたいもん 」
「 旦那はカウントしないのか 」
「 あの人は別にいい 」
「 なら なんで結婚した 」
「 子供が産みたかったから 」
「 あのなぁ その為に結婚したのか 」
「 そだよ 本当は 小夜がもし男だったら小夜の子供がよかった いや違うか 私がもし男だったら小夜を毎日抱きまくれたのに 」
「 飲み過ぎだぞ真月 お前離婚しろ 子供が目的ならもういいだろう 月夜と一緒にここに帰って来い 私が手伝ってやる また2人で百目奇譚をやろう だから離婚しろ 」
「 うへェェッ 小夜に告られちゃった 真月ちゃんは幸せ者なのです 」
「 … ふざけるな 」
その夜、酔い潰れた真月の迎えに鳥迫家のお抱え運転手の車田を呼んだ。
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