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僕の名前は『高峯 京』。
とある街の神社の宮司の家の次男坊。
神社の名前は『大神神社』と言って、読めばわかるけど狼を祀ってある神社だ。
普通は狼を眷属とする祭神を祀るんだろうけどウチは何故か『狼』自体を祭神として祀っているという変わった神社だ。
『大神様』というデカい白狼で一説によると『白狼天狗』という天狗であるとか、天狗の中では地位が低いとか色々言われてる。
まぁそれでも狗を眷属として使役して防犯というか氏子を盗賊から守ったとか、烏天狗を眷属として使役したとか色々と武勇伝らしきモノがあるらしい。
そんな訳で家内安全やら防犯やらのご利益があると氏子の人達からは『大神さん』と慕われてる。
それでも一本じゃ食べていけないから副業してどうにか生計を立ててる。
現実は非情で世知辛い。
そんな家系に産まれた僕は小さな頃から『不思議な力』があった。
人には見えないモノが見えて、聞こえないモノが聞こえた。
そんな僕の周りにはいつも何匹か狗がいて、変なモノを追い払ってた。
子供時代の僕はその狗すら怖くて、いつも泣いてて、周りからは『泣き虫』だと言われてた。
だって大型犬というよりも仔牛サイズだよ? 仕方なくない?
それはともかく。
父さんにも兄さんにも同じ様な『力』があって、それは『高峯の血』の持つ『力』なんだそうだ。
『先輩方』は僕に色々と教えてくれた。
変なモノ、怖いモノへの対処法。
狗達への対処法。
結局、一番なのは『見ざる言わざる聞かざる』。
決して目を合わせず、何も返さない。
言葉だけじゃない。心も。
少しでも同情してしまえば縋ってきてしまうから。
だからって『修行』にぶち込む事は無かったと思う。
まだ小学校低学年の子供を荒行に連れてくとか何なの?
ウチの親はちょっと浮世離れしてるんだと思う。
父さんだけじゃなく母さんまで賛成して、まるで遠足気分で支度された時はまさかあんな過酷な修行だとは思いもしなかった。
リュックサックに海パン入れてたのが子供心に疑問だったけど、まさか滝行させられるとか思わないよ。
さすがに一番軽いヤツだったらしいけど、それでも凍えるかと思ったからね。
両親には子供というモノがどれだけ脆弱な生き物なのかを是非とも知っていただきたい。
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