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プロローグ
名取友希(なとりゆうき)は、平凡な、何の変哲もないただの高校生だった。
愛想もよく、人付き合いもよく、思春期の多感な時期に道を外れるようなこともなく、ただただ、何の変哲もない良い子だった。
彼には優しい母親がいた。父親は物心ついた時から写真の中にすらも居ず、自分の父親という存在を彼は認知したことはなかったが、彼には優しい母親がいた。
だが、そんな母親も彼が高校生にあがった所で病で帰らぬ人となった。彼には親戚等が居ず、母が遺したお金で一人、慣れない暮らしを始めた。
生活は困難を極めたが、昔からの幼馴染みが助けてくれたりなど、様々な支えを受けてなんとか暮らしを続けていた。
そんな日々が一月過ぎ、ようやく一人での暮らしにも慣れ、毎日が少しづつ落ち着きを取り戻して来た頃、家のポストに一通の手紙が届いた______。
* * * * *
友希は硬直した。
一人暮らしのため、家賃が他よりもほんの少し安く、生活費が少しでも浮くと考え契約したアパートの玄関前で。一通の手紙を目にしながら、友希は硬直した。
その手紙にはこう書かれていた。
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