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俺は外身から抜け出て行動することが、結構ある。それなのに無用心にも、カオを招き入れてしまった。
中身の抜けた、俺の所有物となっている俺の外身を、カオにいたずらされないように。
カオを残しての外出は極力避けなくてはいけない。カオが部屋に乱入してこないように、通常よりも気も引き締めて過ごす必要が生じた。
自業自得だが、厄介なことだ。
思わず、眉間にシワを寄せた。
寝ている俺の外身の頭のてっぺんと、動き回ってきた意識体の俺の頭のてっぺんとは、赤い紐で繋がっている。
この状態。俺の外身と中身。
可愛く表現するなら、サクランボ。
俺の名誉のために言っておくが、俺はチェリーボーイではない。それだけは間違えないでもらいたい。
……誰に弁明しているのだ、俺は。
シン管理部屋のほうをつい、見遣る。
うん。俺はしっかり気にしている。
はっ。笑いのような溜め息を吐く。
まあいい。
とにかく、この姿。
赤い紐は、長老が話していた通り、お腹の中の赤ちゃんと母親とを繋げているヘソの緒そのものだ。ベッドに横たわる俺の外身は、赤ちゃんのように、無防備でいる。
俺たちの見た目は操り人形。
またはキーホルダー人間である。
それを指摘し合い、大笑いしたのはいつ、誰とだっただろう。昔の出来事すぎて、容易には思い出せない。
ぐだぐだ思いながら。
さて、外身を纏いますか。
俺は頭に付いている紐を二つに分ける。
一本はそのまま。もう一本は体の中心を縦に裂くように、下へと向かわせる。利き足である左足に紐を通していく。親指のつま先から紐を出す。伸ばしておく。
外身の頭のてっぺんに、中身のつま先から伸ばした紐をくっつける。そうしておいて、俺は自分の頭上を、くるくる撫で回す。
頭のてっぺんに付いている紐を伸ばす。
伸ばした紐を、天井目がけて投げる。
天蓋付きベッドの四隅に出っ張っている棒の一つに、紐が引っかかったことを確認したのち、意識体である俺自身を天井向けて、引っ張り上げていく。
意識の集合体である中身やシンに、重量はない。空気より軽くも重くもない。
引っ張り上げるというのは、言葉のあやだ。動作を表現しているだけにすぎない。そこにちからは一切、介在していない。
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