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有希子は、お客と北新地にある料亭で軽く食事をして
勤め先のクラブに向かう。
すると店の前で、先ほどピザ屋の帰りに雨水を掛けられた車の
男達が四人で同僚のホステスと一緒に店の中に消えて行った。
有希子は嫌な予感に襲われたが、お客と同伴だから
何食わぬ顔をして店に入るや否や黒服さんが、
○○社長いらっしゃいませ!ご案内致します!と言って
店の真ん中のボックス席に案内してボーイさんが
おしぼりを手渡した。
もう、飲み物等のセッティングはきちんとなされている。
直ぐにヘルプの女の子を着けると有希子は
[社長ちょっと失礼します。]と言ってクロークに向かう。
バッグ等を置きにクローク裏の控え室に入り
急いで席に戻る。
するとトイレの前で先程の四人組の1人で若い男性が
おしぼりを持って立って居る。
有希子は軽く会釈して通り過ぎようとしたその時
[君はここの店の子だったんだな?]と言って
永澤が声を掛けてきた。
有希子は[いらっしゃいませ!失礼します。]と言って
自分のお客が待つテーブルに戻った。
暫くすると黒服が、[葵さん、あちらのお客様が来て欲しいと言われてますので、少しお願い出来ますか?]
そう、有希子の店での源氏名は葵と呼ばれて居るのだ。
[黒服さん、今は無理ですが後で間を看てご挨拶に伺います]
有希子は正直、戸惑い迷惑だなて内心は思ったが、
人気商売の辛さ故に笑顔で、永澤の方に向いて会釈して
何もないような顔をして○○社長のおもてなしをする。
社長はいつも一時間位で帰って行く。
今日も例外ではなく早々と帰って行った。
有希子も店のママやヘルプの女の子と表まで社長を
送り出して見おくる。
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