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「どうだ? いい娘だろう。お前特別だからな。上手くやれよ。俺は邪魔者になるから消えるからよ。ああ、それからこいつ犬だけは駄目だからな。そのう……犬アレルギーという奴だ。それだけだ。それじゃな。産めよ増やせよ……どこかで聞いたセリフだな。まあいいや」
死神は自分の言いたいことだけを言うと風の様に消えてしまった。
「……消えちゃいましたね死神さん。あのう、たまさんとおっしゃいましたけど、たま子とかたま江とか言う名前なのですか?」
恭一郎は自分の目の前でにこにこしながら座っている少女に尋ねてみた。
「いいえ、ただ、たまって言うんです。ちなみに苗字もありません。だから一緒になれば恭一郎様の苗字がわたしの苗字になります。どうぞ宜しく願い致しますニャ」
「ニャ? って……」
「ああ、なんでも無いですニャ……あ」
そう言いながら恭一郎に向って頭を下げると白いブラウスの胸の前が広がり豊かな谷間が覗いた。思わす目が行きそうになるのを必死で抑える。
「やはり気になるなぁ~その語尾のニャって癖なの。それとも確か死神さんが佐賀出身って言っていたから、そっちの方言なの?」
恭一郎はあくまでも語尾が気になるのだった。たまは最初は笑っていたが、段々と辛くなって来たみたいで、それほど恭一郎の視線が痛かったのだ。
「佐賀ってさぁ~昔は鍋島藩だったよね。あそこって化け猫の伝説があったね。色々と昔は映画にもなったよね? なんか気になるんだよね。でも今の世の中、そんなこと無いか、まさかたまちゃんが、その化け猫だなんてさ、俺ね大学の頃は落研だったんだ。だからその辺詳しいんだ」
冗談半分のつもりだった。そう本当にただのいたずら心だったのだが……たまは突然
「申し訳ありませんでした。恭一郎様を騙すつもりはなかったのですが、わたし達も子孫繁栄のために、わたしのお婿さんになってくれる方を探していたのです。それで知り合いの死神さんに相談した訳です。最近あの方そっちの方に力を入れていましたから……」
「ということは、たまちゃんは、その……もしかして……」
「はい、佐賀鍋島藩の化け猫の子孫です。化け猫なんですが代々人間界で暮らして来たので殆ど人間みたいなものです」
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