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「彼のことはもう吹っ切れてるからいいんです。
でも、こうなった原因って少なからず私にもあるじゃないですか。
勤務が暦通りの彼とは休みなんて全然合わなかったですし、私の残業や休日出勤のせいですれ違いが多かったのは事実ですから。
それでも、どんなに忙しくても時間を見つけて彼に会いに行ったし、私なりに尽くしてきたつもりでした。
なのに、こんな仕打ちってあります?
そもそも、根本の原因は会社だと思うんです。こんな不規則な生活を強いらされて、何がワークライフバランスですか!
入社してから真面目に働いてきたのに、会社に恩を仇で返されるなんて……ここにいたら私はずっと独身のままなんですよ!」
由希の声がやたらと大きいので、さっきから周囲の視線がチラチラと突き刺さって痛い。
「由希ちゃん、分かったから落ち着いて。
ほら、みんな見てるし、ねっ」
由希は肩を上下させた後、満足そうにコップの中身を飲み干した。
どうやらすっきりしたらしい。
「その彼とは縁がなかったんだよ。
それに、早い段階で彼の本質を見抜くことができてよかったじゃない。
仕事に理解がない男なんて所詮その程度だと思うよ。
由希ちゃんはまだ若いんだし、これからたくさん出会いがあるよ。
もっと素敵な彼が自然と現れるようになる……」
「甘いです、先輩」
突然遮られ、百々子は面食らう。
「待ってるだけじゃ駄目なんです!
だから私、今度街コンに行ってきます。
婚活するんです」
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