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「……仕事にストイックな人なの。
忙しいのは理解しているし、仕方がないことだから」
「仕方ないってさっきからそればっかじゃないですか。
理解ある彼女を無理して演じなくていいんです。
先輩が辛いだけですよ」
無理して演じている――それを言われると痛い。
口をつぐむ百々子に由希は心配そうに窺う。
「こんなこと言うのあれですけど……先輩の彼、他にも女がいるんじゃないですか?
もしかしたら浮気とか……」
「それは絶対ないよ!」
言葉が口をついて出た。
断言するような迫力から次第に声が弱々しくなる。
「透はそんなことできる人じゃない……」
信じている。
ただ、信じたいだけかもしれないけれど、不安はないと言ったら嘘になるけれど、でも、信じている。
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