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やっとの思いで席を確保した二人は、テーブルにトレーを置くと腰を下ろした。
「席を見つけるまでの時間がタイムロスですね。
今日は特に混んでるみたいですし、もう勘弁してほしい」
前の席から由希の声が飛んでくる。
覇気がないのは思いのほか席の確保に時間が掛かってしまったせいだろう。
「しょうがないよ。
今日は月曜日だからね」
文句をどれだけ言っても現実は変わらないので、百々子はとっくの昔に諦らめている。
不満を漏らす由希をよそに、両手を合わせていただきますと唱えてからようやく昼食にありついた。
つい食べるペースが早くなってしまうのは、すでに午後の予定で頭がいっぱいだからだ。
昼食の時間すら心置きなく休めないなんて会社に捕らえられたも同然だと百々子は内心苦笑する。
大学を卒業し、イベント企画会社に入社して今年で五年目を迎えた。
第一本部のプロモーションディレクターとして多忙な毎日を送っている。
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